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Thorval 公の回想録

新たなデスナイトの一部が生前の記憶で混乱することがある、という現象に私は注意をひきつけられた。過去の過ちに対する憎悪が私以上に心に渦巻いている者などいるはずもないのだが、彼らの安息無き心がこれ以上悩まぬことを切に願う。しかし、Scourge において私は赦しを見出した。

無知だった頃、私は憎き「光」へ誓いを立てたパラディンだった。希望という嘘で盲目的になっていた私は、近隣に潜む Scourge の探索へ赴いている間、妻と二人の幼い娘を家に残して出掛けていた。我々の哀れな一団は何週間にもわたり森を探したが、痕跡はすべてほとんど消えてしまっていた。冬が訪れてもまだ、敵についての情報を何も得られずにいた。苛立ち、我々は家路に着いた。

最後の丘を登ると、恐ろしい光景が眼前に現れた。村は焼け落ちて見る影もなくなっていたのだ。私は自宅へと走った。間に合わせのかんぬきが扉の外側に打ち付けられていた。扉を破って中に入った私は、黒焦げに変わり果てて足元に横たわる家族の亡骸を見つけ、驚愕のあまり頭が真っ白になった。苦しみに顔を背けると、扉のひっかき傷が目に入った。家族は半狂乱になって扉を引っ掻いたのだ。一番小さな引っ掻き傷は、末娘のものだった。

我々が留守の間に「病に感染した者が村周辺に隠れている」との噂が立ったことを後に知った。村人を生きながらに焼き殺し、一人残らず皆殺しにしたのは Scarlet Crusade だった。その残虐さは想像を絶するものだったが、私は己の中にも同じ感覚が渦巻いてきたことに気付いた。我が剣の激しい怒りを味わわせてやるべく、Crusader どもを見つけ出してやりたいと渇望した。

やがて、私は他の探索メンバーとともに再び召集された。他の者たちにも自分と同じ失意と怒りを感じたが、指導者たちは最寄りの残存駐屯地に留まることを命じた。夕暮れから程なくして、森の中からアンデッドの不吉な声がこだましてくるのが聞こえ、そして Scourge の大群が押し寄せてきた。

私は機械的に倒した。けれど一匹を倒しても、それ以上の数が丘から這い上がってきた。自分たちが追いかけていた Scourge の波に巻き込まれ、今や不意討ちをくらい蹴散らされている。味方は疲弊し負傷して倒れていった。もはや抵抗するには多勢に無勢であった。

攻撃を受けた時、娘たちと一緒にあの森の中で遊んでいたことを思い出した。その記憶が私を憎悪で満たした。何故こんな記憶が残らなければならなかったのだ、と。その記憶は幻だ。苦痛と離別の現実から目をそらすだけの幻。娘たちは死に、この地は Scourge に蹂躙されたのだ。死とは、すべての人の物語が至る唯一の完全な「終わり」なのだ。何かを守るために力を振るえば、必ず敗北に繋がる。別の結末のために力を用いる者にだけ、成功は姿を見せるのだ……。

その場ですぐ、不死者の勝利の布告者たる Lich King への忠誠を誓った。Lich King は私を苦しめてきた憎き人としての感覚を排除して下さった。私はデスナイトとして生まれ変わった。同胞と私を倒す者などいない。氷の決意を試すに足る苦い敗北などありはしない。Scourge に清められ、Azeroth 全土に死をもたらすという欲望を満たす用意は整っている。

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